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2023/10/17学校生活イベント

第3弾!ワオ高生の活動成果発表~ワオ高生が先生になるプレゼンショー

 

恒例になってまいりました「ワオ高生が先生になるプレゼンショー」。

「好き×学び」で自分の未来を切り拓くワオ高生たちが、自分の「好き」や社会課題への探究活動について、情熱をもってプレゼンをします。

 

今回は、第3弾として、10月オープンスクールで実施した3名のプレゼンの様子をお伝えします。

今回は、山本潮校長・河本教頭に加え、岡山ではFM岡山の放送でもおなじみの、おかやまアナウンス・ラボ株式会社 代表取締役の森田恵子さんをゲストにお迎えしました。

一体、生徒たちはどのようなプレゼンをしてくれたのか、ご紹介します。

 


「僕の人生の反省会」(高校2年生 Y・Kくん)


 

 

最初に登場してくれたのは、高校2年生のY・Kくん。「僕の人生の反省会」というタイトルで発表してくれました。

 

小・中学校で感じた学校への「違和感」

 

Y・Kくんは小学校・中学校では「違和感」があり、学校に馴染めなかったと言います。

 

小学校は地元の公立に通っていたのですが、授業自体が面白くなく、習い事をたくさんしていたそうです。

その中の学習塾で、楽しそうに授業をしている先生に出会い、授業する人でこんなにも変わるのかと感じたとのこと。それもあって「先生みたいに授業をした」という体験も話してくれました。

 

それは、小学校の授業で騒がしかった時の事。

「先生の授業が面白くないから、生徒たちは騒ぐんじゃないですか」と素直に感想を言ったところ、「じゃぁ、お前、やってみろ」と先生に言われ、実際にY・Kくんが授業をしたそうです!

その時は、なかなかあり得ない事態にクラスメイトは喜んでくれたので、自信を持ってしまったとか。今では、それはクラスメイトも面白がっていたことをわかっているようです。

 

その後、学習塾での勧めもあって、中学校は私立の中高一貫校に進学。

中学校では先生自体が授業を楽しんでいたので、Y・Kくんも楽しめていたようですが、やはり学校という集団になると、相性が合わない先生や生徒とも出会ってしまいます。また、受験して入ってみると、成績がずっと下位で、それがコンプレックスに。

しかし、一番辛かったのが、写真が趣味なので、学校にカメラを持っていったら、余計なものを持ってくるなと怒られた。しかも、写真部に入ると言ったら、「お前はダメだ」と言われたことだそうです。

 

ここで、Y・Kくんから参加者に質問が。

 

Y・Kくんの通った小学校には「みんな遊び」という時間があり、その時間には「みんな遊び委員会」が決めた遊びをクラス全員強制参加でやらないといけなかったそうです。

みなさんは、参加しますか?それとも参加せず自由にしたいと思いますか?

 

意見は分かれましたが、自由にしたいと思った人の方が少し多いという結果になりました。

 

Y・Kくんも「休み時間ぐらい自由にしたい」と思ったのです。でもそれは怒られます。そして怒られたら、しぶしぶ従いますよね。でもY・Kくんは、自由にし続けてついに参加しなかったそうです。

 

そのことから、Y・Kくんは、学校って今の社会で「使いやすい」人間を作るところだと感じました。

 

自分が「これは違う」と異論を先生に伝えたところで、否定されると、周りもそれに唯唯諾諾と従ってしまう。

それによって、「できること」「できないこと」の2つに分けられてしまい、「できないこと」は見向きもしてもらえない。

その結果、「できないこと」に挑戦する可能性の芽まで摘んでいるのではないか、そんなふうに思ったそうです。

 

これが、小学校・中学校で感じた「違和感」の正体でした。

 

ワオ高校での企画

 

そんな経験から、内部進学をせずに、ワオ高校に入学することにしました。

 

今は目先の成績よりも、将来のことを考えて「今」に臨めるようになったので、少し気が楽になったとか。

 

そして、自由な時間が増えたので、(やることはやらないといけませんが)羽を伸ばして好きなことができているので、気持ちは晴れやかだとか。

 

それに先生も寛容な人が多くて好きなことをやらせてくれると感じているそうです。特に印象深いのが1年生のスクーリングでのこと。

 

岡山には路面電車が走っています。スクーリングでは、様々な地域から生徒が岡山に集まるので、半分冗談で、先生に「路面電車」を貸し切りたい、と言ったところ、路面電車や地方の公共交通機関の現状と課題が学べる授業をすることを条件に企画を考えたら、学校で路面電車を貸し切るから、自分でやってみなさいと、言われたんです。

 

そして、Y・Kくんは、見事企画を考えて、特別授業を行い、貸し切りの路面電車にみんなで乗ることもできました。(このときのブログはこちら

 

 

写真や鉄道の話題が出てくることからもわかるように、Y・Kくんは旅行が趣味。旅先で見えてくるのは、地方の公共交通機関が抱えるジレンマです。地域の足としてなくてはならないものですが、過疎化が進むと維持自体が難しくなる。維持しないと足が無くなって益々過疎化が進む。

 

そんな中でも、地域活性化の取り組みをしているところはたくさんあります。そんな人々の活動を見ると、自分も何か役に立ちたいと、Y・Kくんは思うようになりました。

 

そこで、ワオ高校の「起業コース」で学んだことを元にして、地域活性化のための会社で起業しようと決めたそうです。

 

周りの大人って楽しそうですか?

 

通勤電車に乗ると、疲れ切った生気のない大人を目にすることがあります。

人生の大半は仕事なのだから、お金も大事だけど、楽しいことが一番重要なんじゃないか、そんなふうにも考えるようになったそうです。

 

専門分野で活躍している人は趣味=仕事みたいに楽しそうにしている。そういう人たちと地域おこしをしてみたい。

 

それがY・Kくんの夢です。

 

講評

 

山本校長の感想は、いろいろな話題があってどれも面白かったが、次回は例えば、Y・Kくんと同じような悩みを抱えている小・中学生に向けて、どう向き合って進んでいくかを話す、というように的を絞った話を聞いてみたい、というものでした。

そして、自分が経験したことについて、いろんな人と話してみてほしいし、批判的な目を向けていた学校の先生たちが、当時どういう思いだったのかも知ってほしい、そうすることでさらに大きく成長できる、という励ましの言葉もありました。

 

森田さんからは、「振り返って、自分の強みを生かしているので、反省会というようなネガティブワードではなく、もっとポジティブな視点で表現した方がふさわしい。」という感想に続いて、具体的なアドバイスもいただきました。

 

地方の公共交通機関は、廃止されることも少なくないように、かなりの問題を抱えている。それをどうにかしようと思うのなら、まずは、スクーリングの時のような実践を重ねること。

そして、その地域を支えている、それぞれの立場の人たち、例えばライフラインを支えている人たちはどんな職業やどんな立ち位置の人がいるのか、その地域の強みは何なのか、その弱みをカバーするには、自分が持っているどんな力やアイディアが当てはまるかということを、ロールモデルみたいなものを描いてみてほしい。

 


「東京スタディツアーに参加して思ったこと」(高校1年生 M・Hくん)


 

 

2人目は高校1年生のM・Hくんです。

 

学問の世界に広く興味関心を抱いているM・Hくんは、哲学部や科学同好会など、ワオ高校内でも様々な活動に積極的に参加しています。

そんな活動の一つとしてM・Hくんが参加した東京スタディツアーでは、「NewsPicks」などで知られる 株式会社ユーザベース(以下UZABASE) の丸の内本社、情報経営イノベーション専門職大学(iU)を訪問し、ワークショップに参加しました。

 

東京スタディツアーで体験したこと

 

東京スタディツアーの内容は、大きく2つ。

 

1つは、ワークショップで、UZABASEやその他の事業開発会社の社員の方々から、事業開発をするにはどうしたらいいのか、ビジネスをするにはどういう手順を踏めばいいのかを学びました。

 

もう1つはプレゼンテーション。「高校生はニュースを通じて、どんな世界観を得るだろうか」というテーマで、ツアー最終日の朝に行われました。

 

 

ニュースを見る人と、見ない人の間にはどんな違いがあり、世界観にはどんな差が生まれるかということを考えなくてはいけないわけですが、テーマとしてもなかなか難しい上にさらに問題がありました。課題が提示されたのは、初日のワークショップ時ですが、2日目はiUでの授業があったのです。

 

一体いつ考えて、いつ資料を作る?

 

これは最初から、かなりハードだという予感は、参加者の皆が感じたところでした。

 

実際には、2日目のiUでの授業で、問題解決のフレームワークの一環として、プレゼンをするにはどんなコツがあるのかを講義で学んだり、在校生のアドバイスを受けて資料を作ったり、と最終日のサポートになるプログラムが組まれていました。

 

失敗と学び

 

ここで、M・Hくんは、当日のプレゼンの一部を紹介してくれました。

 

これは最後のスライドで、プレゼンの結論となる内容です。

 

 

実は、M・Hくんのプレゼンは参加者6名中一番反応が悪かったそうです。その原因の一つがこのスライドに表れているということです。

 

それは、「受信した情報の色に染まっていく」とか「知ってほしいことを価値のある形で発信し続ける」とか、抽象的でわかりづらい言い方をしてしまっていること。

本当だったら、こういう抽象的な話をした後は、「これって具体的にどういうことなのか」という説明した方がよかったのにそれをしなかったこと。

 

実際、大人の反応は微妙な感じだったということで、このことからM・Hくんは、プレゼンについて1つの学びを得ました。

 

 

それは、

 

「プレゼンは、人の立場に立ってなんぼなんだなぁ」

 

いうことです。

 

一番初めの部分にずっと執着して、時間がないのにも関わらず、そこにこだわりすぎてしまい、一番最後の一番重要な結論の部分が書けなかった、きちんと説明できなかった、丁寧にならなかったというのが、今回の反省点だそうです。

 

しかし、M・Hくんは、今回こうして反省をプレゼンすることで、次に生かすということをやってくれていますから、これはこれで糧になったと言えます。

 

3日目のプレゼンという試練を乗り越えたM・Hくんたちは、東京大学本郷キャンパスを見学して、カフェでお茶をするという、ちょっとしたご褒美を味わいました。

 

M・Hくんの、今回のスタディツアーの感想は、まとめると3つ。

 

一つ目は、プレゼンでの痛い思いも含めて、いろんなワークショップに参加し知識も身に付き、いろんな経験もできたので、「大変良い勉強させてもらった」ということ。

 

二つ目に、普段会えない先生や生徒と話せて良かったということ。

通信制高校ではオンラインでカメラ越しに会えるというメリットもあり、M・Hくんの場合は部活動や同好会などで、平日は基本的に活動しているのですが、それは逆に言うと普段、用事がない先生や生徒と会うことがないということでもあります。

リアルな学校なら、通りがかりで顔を合わせるということもありますが、通信制だとそうはいきません。スタディツアーで現地に行って実際に面と向かって喋るというのは非常に貴重な機会となりました。

 

三つ目は、やはり「また行きたい」ということ。前期には岡山でのスタディツアーもあり、M・Hくんはそれにも参加していたのですが、それも楽しかったので、次も参加したいということです。

 

今後の展望としては、今回の学びを、将来の心理学の研究に生かしていきたい、話してくれました。

 

講評

 

森田さんからは、「ニュースリソースをどこから取ってくるかとか取材をする会社や記者の人たちは、いろんな主観とか先入観も入る中で、若い世代の人たちが見たいと思えるニュースやその切り口とか切り取り方をいろいろと考えて発信しようとしている。UZABASEという、その現場に行き、若い世代の人たちが今ニュースをどう見るかどのツールを使ってみているか、しかも見る・見ないでどんな世界観が生まれてくるのか、というのを考えさせてもらえたというのは、本当にすごい良い経験だし、また、何が自分の学びになったということをきちんと話せているのは非常に良かった、とお褒めの言葉をいただきました。

 

また、スタディツアーでのプレゼンテーマについて、M・Hくん本人がどう思っているのかという質問もいただきました。

 

これに対して、M・Hくんは、次のように答えました。

 

ニュースを見てないと、何も喋れないと思うことがある。情報が不足していると、公平な見方もできないし、自分の主観に基づいた独善的な見方しかできなくなってしまう。世の中の情報をきちんと仕入れてないと、何かこういうことありましたと言われても、「ふーん」で終わってしまって、何もコメントできない。その意味でニュースすごく大事だなと思います。

 

東京スタディツアーでのプレゼンにも同席していた山本校長からは、「ほかの人のプレゼンでよかったと思ったところはありますか」という質問が。

 

これに対してM・Hくんは、「主張が突き抜けているかどうかかなと思う。自分の場合はやっぱりふわふわしているところがあった。その点、主張を貫いている人場合は、反応というか、聞いている人の頷き方からまず違う」と回答しました。

 

これに対して山本校長からは、「M・Hくんの発表は非常によく整理されている。でも、整理された情報ではないからこそ伝わる、思いや為人というものもある。それを乗せられるようになると、伝える人として、一段高いところに行けると思う」というアドバイスがありました。

 


通信制高校とワオ高校(高校3年生 A・Yさん)


 

 

最後は、高校2年生でワオ高校に転入してきたA・Yさん。

まずは、通信制高校についての話がありました。

 

出典:文部科学省初等中等教育局「高等学校通信教育の現状について」(令和2年1月15日)

 

グラフを見て分かるように、水色の部分の「左記以外の者」が全日制はもちろん、定時制と比べてもかなり多くなっています。

この「左記以外の者」というのは、注にもありますが「家事手伝いをしている者、外国の学校に入学した者、上記の1~5に該当しない者で進路が未定であることが明らかな者を示す。」とあり、実態としてはほとんどが、進学も就職もしていない「進路未確定者」であると考えられます。

 

通信制高校に入学するという点で不安なことの1つに、この「進路未確定者が多い」というのがあると思われます。

そもそも入学動機が多様なことも影響していると思いますが、通信制高校というのは進路に迷いが生じやすいのではないかという仮説も立てられます。

 

また、進路以外にも、在学中の不安は様々考えられます。

 

まず、自分で学習意欲を保つ必要があるという不安。

次に、人との関わりが薄くなるのではないかという不安。

そして、自由な時間が増える分それをどうやって使えばいいのかなという不安。

 

A・Yさんは不安を煽りたいわけではありません。

 

A・Yさんは2年生でワオ高校に転入してきました。こうした不安はまさに、転入前にA・Yさんが感じていたことです。

 

ネットで検索すれば、個人のネガティブな経験談なども目につきます。まだまだ実態がよく知られていない通信制高校に対しては、親も子供本人も不安になりやすいのは仕方がないのかもしれません。

 

A・Yさんは今回の発表で、そんな不安を少しでも払拭したいそうです。

 

私の経験

 

A・Yさんが、転入を決めてからワオ高校に籍を移すまでの期間は2週間ほど。その間に引っ越しもあり、忙しかったせいか、先ほど紹介した不安もあるにはありましたが、勉強という面ではあまり大きな不安は感じませんでした。それよりは、新しい環境に対する期待感の方が大きかったようです。ただ、気になることも。

 

それは「どんな先生がいるのか」ということ。

 

実は、A・Yさんは学校の先生にあまり良いイメージを持てておらず、ちゃんとコミュニケーションが取れるのかが大変、不安でした。

 

ですが、実際にワオ高校に入ってみると、ほぼオンラインでのコミュニケーションとなるので、もし合わないと感じる先生や同級生がいたとしても、自分の心地いい距離を保ちやすいので、不安に思わなくてもよかったと今では思うようです。

 

入ってから困ったことは時間の使い方です。自由に時間を使える分、その使い方が問われているというのを感じていたそうです。

 

元々、課外活動やボランティアなど、色々なことに興味があったA・Yさんですが、どうやって探したらいいかわからない、そもそも住んでいるところが田舎で活動自体が多くない、都市部へのアクセスにもお金がかかってしまう。そういうものは、都会の「上級国民」が参加しているもの、みたいに思って諦めていました。

 

社会福祉協議会にも行ってみそうですが、「今募集してないんだよね」で一蹴されてしまいました。

 

また、海外大学への進学を志望しているA・Yさんですが、調べてみると同学年でもう法人を立ち上げている人やサマーキャンプに参加している人もいて、それに比べると「やっぱり私は無理なのかな」と思って心が折れてしまっていたのが、高校2年生のとき。

 

 

でも、今は、バイトを生活の中心にしながらも、学業と並行して、課外活動にも参加しています。

 

そのきっかけになったのが、3年生になって先生に紹介してもらった、さとのば大学主催の「ラーニングジャーニー」でした。

 

さとのば大学は、地域に暮らしながら実践するプロジェクト学習を軸とした市民大学で、ネットの大学であるmanagara(新潟産業大学経済学部経済経営学科通信教育課程)と提携しており、学位の取得が可能となっています。

 

A・Yさんはこの「ラーニングジャーニー」を通じて、インターンに参加したり、月一のZoomでの会合に誘ってもらったりすることができて、一歩踏み出すことができました。

 

このインターンは、一か月泊まり込みで地域課題をリサーチし、最終的に市に支援施策の提案をするというものでした。A・Yさんは教育に興味があったので、教育分野のリサーチを行いました。

 

ただ、政治と教育というのは、あまり相性が良くないところがあり、いろいろと知りたくなかったことも見えてしまうような経験もしました。

 

最終的には、市長・副市長、その他60人ほどの前でプレゼンテーションを行いました。何か考えてもらえるきっかけにはなったのではないかと、自分では満足しているそうです。

 

そのインターンには中央大学や早稲田大学の学生も参加していて、メンターとしてサポートをしてくれました。そういう大学生たちと直接話すことができたのはいい経験だったと思っているそうです。

 

そうしてできた繋がりは、もう一つの自分の居場所だと感じているということです。

 

そして、A・Yさんは、今はワオ高校での学習と並行して、IHRP(全国高校生異分野融合型研究プログラム)で、教育関係の研究を進めています。

私から見たワオ高校

 

ワオ高校に入学してみてどうだったか。

一つ目は、勉強面。A・Yさんは、元々、自分で学習を進めていくのが、自分に合っている自覚があり、実際にやってみて、システム的にも自分にはフィットして、勉強面にはあまり困ったことはないとのことです。

 

そして二つ目が高校生活での自己表現について。ワオ高校は、基本的に校則がないので、外見・見た目も自由、考え方などの内面についても自由です。

自分の好きな自分で居ることができる、それを受け入れてくれる大人が回りにいること。これが、ワオ高校に転入して、一番良かったことだとか。

たくさん刺激をくれる同級生や、専門的なことも聞いても快く答えてくれる先生もいる。そういうことを考えると、いい環境に身を置けていると最近は感じるそうです。

 

以前は、敷かれたレールの上に乗って進んでいることにも気づいてなかったのに、今ではいろいろなことを自分で考えて選択できている、正直なところ、こんな楽しい人生送れるとは思ってもいなかったといいます。

 

みなさんへ

 

最後に、参加者の皆さんへ、A・Yさんからメッセージが。それは、「好きを大事にしてほしい!」ということ。

 

 

好きなことを好きだと言うのは、結構勇気がいることだと感じるA・Yさんは、音楽とか美術とかでも、自分には専門的な知識も才能もないからと思って、「好き」と言えずに「費やす時間が多いジャンル」というように、もともとは、ちょっとひねくれた認識をしていたそうです。

 

今は、進路のことを考えることも多く、やりたいことへの不安やゆらぎが生じて、毎日、葛藤することも。でも、選択するときには何よりも「好き」を真ん中に置いておきたいし、他の人にもそうあってほしいと考えています。

 

A・Yさんが好きなアニメの中の言葉に次のようなものがあります。

 

「好きなことは趣味でいい、これは大人の発想だと思いますよ」

 

この言葉に背中を押されて、A・Yさん今は美術系の学部も視野に入れながら進路を考えています。

 

好きを実現できる進路を、わくわくしながら考えていってほしいと語るA・Yさん。無責任な言葉かもしれないけれども、今の予測不可能と言われる時代に生きている自分たちだからこそ、好きなことは、大事にするべき評価軸だと感じていると言います。

 

そして、A・Yさんから参加者へのメッセージが。

 

「何が自分のことを支えてくれるのか、守ってくれるかと考えると、仕事するにも何をするにも、好きというのは、大事にしなくてはいけないと思います。だから、みんなにも好きを見つけて、大事にして、育てていってほしい。そして、それがワオ高校で実現してくれるのだったら、ちょっとだけ先輩としてとてもうれしいです。」

 

講評

 

森田さんからは、まず「私が勇気づけられました。自信を持って自分の好きな自分でいるっていうことを多くの人に伝えていく役割が私自身にもあるのだと、そんな励ましを私が勝手にいただきました。A・Yさんがこの学校を選んだ。そのきっかけ、そして選んだことによって自分が少し不安に思っていたことも解消されて、自由を手にし、それによって思考を深めていくプロセスや、それからそこから得たことっていうのをしっかりと伝わってきました。」という過分なお言葉をいただきました。

 

そのうえで、「インターンシップでも、社会人の方々はもちろん、大学生も含めて、社会との接点がたくさん増えたと思いますが、そこで触れた大人の方々って、どんな様子でしたか。」と質問もいただきました。

 

A・Yさんが参加したインターンは福島県の学校で行われたのですが、そこは震災で一度何もかもが0になった町です。でも、そこには、子供よりキラキラした目をしていて、自分もこのままじゃ駄目だと思わせるように思わせてくれるような大人がたくさんいた、ということです。

 

山本校長は、「いろいろと悩んでいる中学生、高校生にA・Yさんの話を本当にもっといっぱい聞いてほしいと思う。A・Yさん自身も、そういうことをもっとしたいというのを言ってくれている。自分自身の経験や学んだことみんなに伝えていきたい、そういう場を学校としてぜひ作ってくださいと言ってくる、このこと自体が非常に素晴らしいことだと思う。」という感想が述べられました。

 

今回は、3人のいずれもが社会とかかわることを志向したり、関わることによって学びを得たり、と社会がキーワードになる発表でした。

 

また、特別授業の企画、テーマを考察してのプレンテーション、インターンでのリサーチと、いずれも実践を通して大きく成長してくれているのが、非常に印象的でした。

 

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