2025/07/04教養・リベラルアーツ学校生活
7月4日(金)、ワオ高校のバーチャルキャンパスで、全校生徒を対象とした「主権者教育」についての特別活動「健全な民主主義を支える国民の在り方」が行われました。
3日に参議院選挙が公示され、中には18歳成人を迎え、初の投票を控えている生徒もおり、近づく選挙に向けて生徒たちは「主権者」として社会に関わる意義や責任について考える時間を持ちました。
授業では、「主権者とは何か?」という問いから始まりました。
日本国憲法前文を読み解き、民主主義社会に生きる私たちが「主権者」として担う役割の重さを確認しました。「多数決」で死刑判決を受けたソクラテスの事例などを挙げ、民主主義は主権者の深く考えない行動によって、愚かな判断が導かれてしまう可能性があるという歴史的な事実を振り返りました。
さらにドイツの社会心理学者・Erich Frommの『自由からの逃走』なども取り上げ、
現代における民主主義の危機——情報の洪水の中で判断を他者に任せる「観客社会」の問題が提起されました。
主権者教育を担当した社会科の福盛教諭は「 自分の判断を放棄せず【参加社会】としていくことが、健全な民主主義には不可欠」と述べ、メディアリテラシーの大切さや、フィルターバブルを打ち破る必要性も強調しました。
実践的な学びとして、新聞社のウェブ記事などで公開されている各政党の公約比較を示しながら、公約を見極める視点として以下の4つが紹介されました:
1.具体性(実現の道筋が明確か)
2.健全性(持続可能な内容か)
3.妥当性(現実を踏まえた内容か)
4.合理性(効率やバランスに優れているか)
単なるスローガンではなく、「何を、どう実現するのか」を読み取る目が求められています。
授業の最後には、架空の4政党についての模擬投票を実施。
各生徒の主張として、「消費税」「社会保障」「防衛費」など、実際の選挙でのトピックスとなる政策が掲げられ、生徒たちは上記の視点を参考に、4政党から1つを選んで投票しました。
「片方の政策はよいけれど、もう片方は賛同できない…」
「もっと詳しく中身を見ないと決められないかも…」
生徒たちは頭を悩ませながら、短い時間で選択をしていました。
選挙は一部の人だけのものではなく、この場にいるすべての生徒が、間もなく“当事者”として向き合うことになるテーマです。
「政治に関心がない」「よく分からない」では済まされない社会の中で、
ワオ高校ではこれからも、主権者としての意識を育てていく教育を行っていきます。
民主主義は、「みんなで決める」「みんなで背負う」仕組み。
そして、社会をつくっていくのは、これからの世代に他なりません。
2025/07/04教養・リベラルアーツ学校生活