学校法人ワオ未来学園 ワオ高等学校

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2023/01/05教養・リベラルアーツ新しい学び

「科学者に必要なのは?」量子力学論争から考えてみよう【教養探究Ⅰ:宇宙/Zoom授業】

 

2022年度後期から、2期生もワオ高校の独自科目である教養探究に取り組んでいます。

今日は、その中から自然科学探究Ⅰ「宇宙」のZoom授業を、生徒の発言を中心にご紹介しましょう。

 

「宇宙」では、相対性理論を起点に科学(物理学)の発展を見ていくことによって、科学という営みがどういうものなのかを考えていきます。

中でも今回の授業では、若き天才チャンドラセカールとその師エディントンの間で1930年代に起こった「師弟論争」を題材に、科学者に必要な資質について探究しました。

 

まず「自分が興味をもっていること」についてインターネットで調べて発表する準備ワークからスタートし、その後、チャンドラセカールとエディントンそれぞれについて調べて共有しました。

ここでは、「ちょっとニッチな情報も探してみて!」という先生からの助言が。

 

■チャンドラセカールはどんな人?

・英国領インド(現パキスタン)生まれ。

・幼い頃から数学が得意で神童と呼ばれていた。

・19歳でインドの大学を卒業した後、ケンブリッジ大学の大学院に進むためイギリスに渡った。

・「白色矮星の質量限界」の研究を21歳でまとめた(ブラックホールの存在を示唆)。

・エディントンの弟子。

・叔父もラマン効果の発見でノーベル物理学賞を受賞している。天才の家系?

・アメリカ・シカゴに移住した。

 

■エディントンはどんな人?

・イギリス生まれ、チャンドラセカールより30歳近くも年上。

・恵まれない子ども時代を過ごしていたが、ケンブリッジ大学で核融合を発見。相対性理論を初めて観測した。

・アインシュタインがドイツ語で発表した相対性理論を英語圏に紹介した。

・当時相対性理論を理解していたたった3人のうちの1人と言われる。

・天文物理学の権威であるという立場も利用して、チャンドラセカールの理論を徹底的に批判した。

・61歳、ケンブリッジで亡くなる。生涯独身。

 

ここまで調べたところで、探究の本題にグッと近づいていきます。

 

 

■エディントンは、何故チャンドラセカールの理論を否定したのか?

・年下なのに自分と全然違うこと(今までの常識では理解できない事)を言ったのが気に食わなかったから。

・相対性理論を否定されたから。

・相手がイギリス植民地の出身ということで、見下したかったから。

・自分の経歴に泥を塗られた、塗られそうだから嫉妬した。

・今まで築いてきた自論の辻褄合わせをする必要があったから。

 

どれも科学的な根拠とはかけ離れているような…。

さてそろそろ、最後のクエストに入ってもよいでしょう。

 

■科学者にとって大切なのは?

・もちろん科学者として優れていること。

でもその前に人である限り、人間性が大切だと思う。

・目的を見失わないこと。

エディントンは宇宙という未知のことを知りたくて研究していたのに、自分を中心に考えてしまった。

・科学的根拠。他人の理論を批判するには根拠が必要だったと思う。

・可能性も大切。

根拠は無くても新しい理論についての可能性はあると思う。完全否定してしまったら、可能性も潰してしまうことになる。

・人間性。研究に感情を持ち込まず、否定されても簡単に揺るがないことも大切。

 

 

最後に、シャーロック・ホームズのセリフを引用してまとめとなりました。

不可能なことがらを消去していくと、よしんばいかにあり得そうになくても、残ったものこそが真実である。

(『白面の兵士』より)

 

チャンドラセカールの提唱した理論は、当時はあり得そうにないものだった。

ホームズのように「あり得ないこと」という概念を消し去って真実に辿り着こうとしていた。

それをエディントンは科学界の政治的な力で否定した。その時点で科学者としての道を踏み外してしまったんですね。

 

昔は、他にも宗教や階級によって科学の歩みを止めてしまうことが多々ありました。

残念なことではありますが、そういう時代を経たからこそ、今の発展もあると言えます。

 

生徒たちは、科学の歩みに思いを馳せながら、批判に対して柔軟に対応できる視野の広さが大切だということも確認した様子でした。

 

教養探究の授業の様子はこちらのブログ記事でもご覧いただけます。

 

2023/01/05教養・リベラルアーツ新しい学び