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2021/02/10大学受験

大学受験は、何が、いつ、どう変わるのか

 

今、大学受験が大きく変わろうとしています。

しかし、変わるのは大学受験「だけ」ではありません。

 

ニュースなどでは「大学入試改革」と呼ばれていることも多いですが、「高大接続改革」というのが正確な呼び方です。高校教育と大学教育の接続、略して高大接続です。つまり、高校の教育が変わり、大学の教育も変わる。その間をつなぐ大学入試も変わる、というのが高大接続の意図です。

 

では、具体的には何が、どう変わるのでしょうか。
そもそもなぜ、変わらなければならないのでしょうか。

 


何が変わるのか


高校・大学において身につけるべき「学力」の質が変わります。そして、その学力が身につくように、教育の内容と、選抜試験(入試)が変わります。

 

従来の教育で育まれてきた「知識・技能」だけでなく、「思考力・判断力・表現力」や「主体性・多様性・協働性」という新しい要素を加えた3つの要素をすべて合わせて「学力」と考えるようになります。社会に出て、自ら答えが定まらない問題に対して解を見出していく力(学力の三要素)をみにつけさせるための変化です。

 

この「真の学力」を育むために次の4つの大きな改革が実行されます。

 

① 各大学の個別選抜の改革
② 共通テストの改革(大学入学共通テストなど)
③ 高等学校教育の改革(学習指導要領の見直しなど)
④ 大学教育の改革(多様な学生の評価。社会につながる力)

 

①の大学独自の入試、②の大学入学共通テスト(旧センター試験)の2つがいわゆる「入試改革」にあたり、残る③④は学校教育そのものの改革です。

 


なぜ変わる必要があるのか


世界や社会が変化する中、社会人として求められる能力も従来の知識型から課題解決型へ変わってきており、義務教育を終えた先の高等学校や大学で、そのような力(学力の三要素)が身につくように教育を変えてほしいという、社会からの要請に応えるためです。

 


いつから変わるのか


高等学校での学びの基準ともいえる「高等学校 学習指導要領」が2022年度(2022年4月)から変わります。

それに先駆け、2020年度の大学入試が変わります。大学入試センター試験に代わる「大学入学共通テスト」は2021年1月に実施されるものから、学力の三要素を問うような問題に変わっています。誤解もあるようですが、従来の学力試験(知識を問うもの。答えが1つであるもの)がなくなるわけではありません。それも学力の三要素の1つだからです。ただし、それだけでは答えられない問いに変わっていくということです。

 


高大接続改革の経緯


グローバル化や情報化、少子高齢化など社会構造が大きく変わり、社会で求められる人物像も大きく様変わりしてきた中で、学校教育がその役割を十分に果たしているとは言えないと、2012年に当時の文部科学大臣が、国の教育施策を検討する中央教育審議会(中教審)に改革の検討を依頼(諮問と言います)したのが始まりです。※1

 

中教審では2012年から2014年までの2年間、21回の会合の中で、教育に携わる様々な分野の専門家が議論し、1つの大きな方針をまとめました。
それが「新しい時代にふさわしい高大接続の実現に向けた高等学校教育、大学教育、大学入学者選抜の一体的改革について(答申)」です。※2

 

この答申に基づき、2015年に文部科学省が発表したのが「高大接続改革実行プラン」です。※3

 

そして今、まさにこの実行プランに基づく高校教育改革、大学入試改革(大学入学者選抜改革)、大学教育改革が進んでいるのです。

 


改革が進んでいないという誤解と思い込み


2018年の大学入学共通テストのプレテストや、2019年の「英語成績提供システム」の導入見送り、国語・数学における「記述式」問題の導入見送りの発表などがあり、世間では高大接続改革自体が進んでいない、あるいは頓挫した、という誤解を持っている人がいるようです。あるいは、学力の三要素は教えるのも評価するのも難しく、受験のように明確に合格・不合格を決めなければならない状況においてそれらを問うのは難しい。結局は従来の知識型のテストが主流であることは変わらない、という認識です。

 

大学入学共通テストの問題は明らかにこれまでの知識型とは違う観点で解答者の力を試してきます。大学毎に作成される個別試験にも、アドミッションポリシー(入学受け入れの方針)の明示が求められ、試験の方式や問題も、これまで以上に多様化します。

 

繰り返しますが、答えが1つで正解・不正解が明確にわかる従来の問いがなくなるわけではありません。それらの問があった上で、知識だけでは解答できない、自分自身の頭で考え、自分なりの答えを求められる問いが増えてくるのです。

 

(よくある誤解)
×高大接続改革(大学入試改革)は進んでいない
 ⇒2021年1月の大学入学共通テストなどから着実に変わっていく

 

×結局は、従来の学力を問う試験がほとんどだ
 ⇒思考力・判断力などを問う試験や、主体性を問う調査書改訂などで試験は多様化します。

 

×通常の知識型学力試験はなくなる
 ⇒知識も学力の三要素の一つなので、それを問う試験は残ります。

 


過渡期であるという認識を


改革は進んでいますが、その進み方は段階的で、今はまさに過渡期にある、と思ってください。
特に、これから高校に進学しようという中学生のみなさんにとって、大学受験は3年後、あるいはそれ以上先のことなので、その時点でどうなっているかを正確に予測するのは難しいでしょう。共通テストもまだ完全ではありませんし、個別試験に関しては、大学や学部によっても変革の速度にはばらつきがあります。

 

数年後の大学入試を見据えて今からできることは、変化(変革)を前提に準備しておくことです。自分のやりたいこと、行きたい大学が決まった時に、そこに入学するための選抜試験が、たとえ従来の知識型の学力試験であったにせよ、あるいは思考力など新しい学力を問う試験になっていたにせよ、「両方」の準備ができていれば、何も慌てる必要はありません。

 

ワオ高校は、大学受験を目指す人に向けて、思考力や主体性などの新しい学力にも対応しつつ、従来の知識型の学力、あるいは総合型選抜試験(従来のAO入試)の小論文対策などを提供し、みなさんの夢の実現を全力でサポートします。詳しくはこちらのページをご覧ください。

 

(参考資料)

※1 大学入学者選抜の改善をはじめとする高等学校教育と大学教育の円滑な接続と連携の強化のための方策について(諮問) (文部科学大臣/2012年8月28日)

 

※2 新しい時代にふさわしい高大接続の実現に向けた高等学校教育、大学教育、大学入学者選抜の一体的改革について(答申) (中央教育審議会/2014年12月22日)

 

※3 高大接続改革実行プラン(文部科学省/2015年1月16日)

 

2021/02/10大学受験