学校法人ワオ未来学園 ワオ高等学校

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2024/06/10大学受験学校生活

哲学思考で小論文の力を養う 2024年度の「戦略思考実践」スタート

 

総合型選抜入試をはじめとする「推薦型入試」に力を入れているワオ高校。

そこで必要となる小論文を「書く」力をアップさせるため、2024年度は特別活動「戦略思考実践~入試小論文の窓から眺める世界~」を開講しています。

 

実際の大学入試の小論文問題には、「ミーム」「ナッジ」「レジリエンス」といった現代社会を読み解くキーワードがよく登場します。

これらの言葉について哲学的な視点から深く知り、考えることで、生徒たちは入試対策にとどまらない「世界が違って見える」経験を得ることになります。

 


生徒も教職員も挑戦 多様な観点を引き出す


5月17日に行った第1回目のテーマは「フード・ファディズム(Food Faddism)」です。

「食べ物が健康や病気に与える影響を過剰に信じること」を意味する言葉です。

 

戦略思考実践ではまず、話し言葉(哲学用語ではパロール)で考えを述べ合い、対話を経た後に書き言葉(哲学用語でエクリチュール)で自分の考えを表現するという流れで取り組みます。

 

初めてその言葉を聞くという生徒も多く、最初は言葉の意味を予想します。

「好きなものばかり食べ続けるということかな?」「カレーを毎日食べるという人もいるよね?」

ある程度予想の声があがったところで、ワオ高校で哲学を担当する福盛教諭がフード・ファディズムの具体的な事例として

 

・テレビで「トマトが健康に良い」と紹介されたら、トマトが売れまくって店頭から姿を消す

・ブルーベリーのアントシアニンが目に良いと聞けば、そればかり食べる

・ある食品ががんに有効と聞くと、必要な治療をやめてその食品ばかり食べる

 

などの例を挙げ、正しい意味を解説しました。

 

さらに、こうしたフード・ファディズムに陥らないためには、物事を「合理性」「論理性」「公平性」があるかという基準に基づいて分析する「クリティカルシンキング」が重要であると述べた福盛教諭。

しかし、実際の社会は強い「思い込み」に満ち溢れているということを、事例を挙げながら紹介しました。

フード・ファディズムに陥らないためには「エビデンス」の有無を確認する必要性を強調しました。

 

ここまでの言葉による解説や対話を終え、いよいよ文章作成に挑戦です。

課題として出されたのが、実際の大学入試で出された小論文の問題。

 

 

ワオ高校の学習プラットフォーム「UMU(ユーム)」を使い、200字以内で文章を投稿しました。

他の人の投稿も見られるので、自分にはない視点や書き方を学び合うことができます。なんと、生徒だけでなく、教員も投稿に挑戦しました。

 


実際の投稿を見て「いいね!」と学び合い


2週間後の授業では、約50人の投稿を見て福盛教諭が講評を行いました。

 

 

「社会的にどのような現象が起こるか」という問いかけに対し、偏った消費行動によって生産者などへの影響が及ぶという内容が多かったということを示し、「こうした方向性での解答ができれば、入試問題では一定程度の評価が得られるだろう」と解説。

一方で、視点が面白いとして、

 

テレビやSNSで見た健康法などの情報を鵜呑みにして特定の食品を過剰に摂取すること。そしてそれが最善だと思い込んでしまうことによって他の方法で健康を維持しようとしている人を否定したり、摂取していない人に強要する場合がある。また、同じ情報を鵜呑みにしている人達同士で排他的なコミュニティが形成され、元々過剰だった思い込みがより強くなり盲信や狂信へと変化する。

 

という生徒の投稿を紹介し、「フード・ファディズムが悪しき社会現象となっていくフローについてきちんと言語化されており、読み手をうならせてくれる視点だ」と評価しました。

 

このように、大学入試の小論文では目新しい視点や解釈の切り口が重要となってきます。

 

UMU上では全員の投稿を見ることができ、面白いと思った投稿には互いに「いいね!」を押したり、コメントを送ったりしています。多くの人の意見を読むことで、自分ひとりでは得られなかった視点を得ることができます。

また、哲学者の考えを基に、現代的な社会問題を読み解くことで、他の受験者に比べても深い思考の小論文を書く力を養っていきます。

戦略思考実践を通じて、ワオ高生の思考力は徐々にアップしていくことでしょう!

 

2024/06/10大学受験学校生活