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2023/09/21教養・リベラルアーツ起業イベント

人生100年時代!中学生・高校生に必要なマネーリテラシーとは?

 

実は現在の高等学校指導要領では、家庭科で「資産形成」という形で学ぶことになっており、「お金」に関する学びが必須なのです。

 

⽣涯を⾒通した経済計画を⽴てるには、教育資⾦、住宅取得、後の備えの他にも、事故や病気、失業などのリスクへの対応策も必要であることについて理解し、貯⾦、⺠間保険、株式、債券、投資信託等の基本的な⾦融商品の特徴(メリット、デメリット)、資産形成の視点にも触れながら、⽣涯を⾒通した経済計画の重要性について理解できるようにする。
(⽂部科学省「【家庭編】⾼等学校学習指導要領(平成30年告⽰)解説」より)

 

「⼈⽣100年時代」と⾔われていますが、現状の社会制度は残念ながら長寿命には対応していません。平均寿命80歳超の現在ですら制度維持が危ぶまれています。今のところ、「⾃分で資産形成をして乗り切ってください」というのが政府の正直なところでしょう。

 

また、働き⽅や暮らし⽅についても多様な選択肢を持てることも現代の特徴の⼀つですが、それはつまり⾃分に合った資産形成の⽅法を選択し、⽣き抜く⼒も必要といえるでしょう。

 

上記のことから、現代社会においてマネーリテラシーを身につけることは重要なことです。

 

今回のブログでは、9月12日に行われた経済探究の学び体験プログラム「人生を豊かにするマネークエスト」で出題したクイズを通して、中学生・高校生に必要なマネーリテラシーがどのようなものかをご紹介します。

 

クイズは、「未来」「お金」「仕事」「AI」「人生」の5つの分野に分けて出題されました。

まずは、【未来】のテーマで出されたクイズから。

 


【未来】南海トラフ地震の被害額は?


 

 

答えは、およそ169.5兆円

 

この予想被害総額は、東⽇本⼤震災の10倍程度、現在の国家予算の約1.5倍と大規模。なぜこれほどの規模になるのか。それは、南海トラフ地震が、産業や経済の先進地である「太平洋ベルト」を直撃するからです。

 

途方もない金額ですが、この被害額をみて、皆さんは、どのようなことを考えますか?

 

今年2023年は、1923年の関東⼤震災からちょうど100年に当たります。

巨⼤地震はある程度の周期で起こっており、被害を「0」にするというのは不可能です。その被害を最小限に抑えるべく、常に危機感を持って備えていくことが⼤切です。

 

また、ここ数年、私たちは、「コロナ禍」を経験しました。

その中で⽣きていくために絶対必要な「⾐⾷住」以外のもの、例えば娯楽に関することなどは「不要不急」とされ、対策が後回しになり、その打撃を受けて廃業・失業する⼈たちもたくさん出ました。

社会基盤が物理的な被害を受けていない「コロナ禍」でさえそうだったのですから、インフラが壊滅している⼤規模震災の時には、より「⽣きる」以外のことが後回しになってしまう可能性は⾼いでしょう。震災後の世界は、被害額以上に失うものが⼤きい世界なのかもしれません。

 

続いてのテーマは「お金」。

 


【お金】日本国民の平均年収は?


 

 

正解は、461万円です。

 

平均ですから、いわゆる「普通」。一般的な年収ということになりますが、これって多いでしょうか?少ないでしょうか?

 

例えば、時給1000円の仕事を1⽇10時間したとして、⽇給1万円。⽉に30⽇働いて⽉給は30万なので、年収は360万円。ここから税⾦が引かれるので、⼿取りはこれより低くなります。

⼀⽅で、YouTuberのヒカキンさんは20億円の豪邸が購⼊できるほど資産があり、年収は10億円ほどと⾔われています。

この平均は、ヒカキンさんのような、とんでもなく稼いでいる少数の人が引き上げてしまっているので、最頻値や中央値はもっと低くなります。

 

どれぐらい年収が欲しいか、これは、⾃分がどのように生きていきたいかによっても、判断が変わってくると思います。何かしらの基準を持って考えていくことが、⼈⽣設計においては重要だと⾔えるでしょう。


【お金】今の10代は年金をいくらもらえる?


 

 

皆さんは、年⾦の仕組みを知っていますか?

 

現在、年⾦は20歳から65歳までの国⺠年⾦保険の被保険者(加⼊者)が負担しています。これを⾃分が払った分を後で⾃分がもらう「積⽴⽅式」と思っている⼈がいるかもしれませんが、それは残念ながら間違いです。

もちろん、「積⽴⽅式」の年⾦を採⽤している国もありますが、⽇本の年⾦は「賦課⽅式」。年⾦受給者に給付される年⾦は、その⽀給時に被保険者が納めた保険料から⽀払われています。

つまり、現在の若者が高齢になって年⾦を受け取るときには、その時に若者と呼ばれる人たちが収めた保険料から⽀払われるのです。

 

学習院大学の鈴⽊亘教授の試算では、今の経済状況だと積⽴⾦がどんどん取り崩され、最終的には年⾦制度が⽴ち⾏かなくなって、そう遠くない未来には年金が1円ももらえなくなるのが最悪のケースとして想定されています。

 

家族の⼈数の変遷を考えてみても、現状のままでは年金制度が破綻することが分かると思います。

例えば昔は⼦供の数が多かったので、⼦供5⼈で両親の⾯倒を⾒るというようなケースがあったわけですが、現在は一人っ子が主流です。すると、1⼈で両親の⾯倒を⾒ないといけないわけです。

 

鈴⽊亘教授の試算では、最悪のケースでは12年で積⽴⾦が枯渇すると予想されています。しかし、政府はこれに対して効果的な対策を講じられていないのが現状です。

 

(鈴⽊亘「年⾦財政の現状と現実的な抜本的年⾦改⾰」⾃⺠党‧年⾦制度を抜本的に考える会)

 

さらにお金について深堀をしていきましょう。

 


【お金】老後の生活費は?


 

 

「⽣活費」と⾔っても、中⾼⽣の皆さんにはなかなか想像がつきにくいかもしれません。

大学進学を機に親元を離れて一人暮らしをしたり、就職して自分の生活費を負担してみたりということがないと、生活費への実感は持てないかもしれませんね。

ただ、⾃分の⼈⽣を設計していくうえで、最終段階から逆算して対策を考えておくというのは⾮常に重要なことです。他⼈事とは思わずに考えてみましょう。

 

このクイズの場合、定年しているので、基本的には働いていません。再雇⽤制度もありますが、年収は3分の1ぐらいになるそうです。

そうすると、収⼊は年⾦のみと考え、その状態で男性平均寿命の83歳まで生きるには、いくら必要か、ということになります。

 

ここでの余命は23年です。

年齢を問わず、⽣きていくために必要な家賃‧⾷費‧光熱費などは⼤きく変化しません。

仮に夫婦⼆⼈での⽣活費を27万円と仮定した場合、⽣活費は27万円×12か月×23年=約7450万円必要ということになります。

 

 

ここで考えてほしいのは、それだけの資産を、皆さんが働いている間に貯めることができるのか。仮に給与のうちから一定額を貯蓄するとして、一体、月にどれくらい貯金をしないといけないのか、ということです。そもそも、月に27万円で足りるのかどうかもわかりませんよね。

 

イベントの参加者からは「サラリーマンだと暮らせないかも」という感想が寄せられましたが、本当にその通りです。

 

終⾝雇⽤で企業が最後まで⾯倒を⾒てくれる時代でもなくなり、少⼦⾼齢化で⼈⼝ピラミッドが逆三⾓形になるという⼈⼝構造の⼤きな変化も起こりました。

その結果、年⾦制度など、従来の制度では対応しきれない状態になってきました。様々な試算で、老後の資金に2000万だとか8000万だとか、とにかく巨額のお金が足りないと言われています。その中でも私たちは⽣きていかなくてはなりません。

 

そこで政府は、「副業」や「NISA」を推奨。

しかし、副業を認めている企業はまだまだ少なく、そもそもフルタイムで働いている⼈のうち、副業をする時間的余裕がある⼈がどれだけいるでしょうか?

そもそも投資をするだけの⾦銭的な余裕のある⼈がどれだけいるでしょうか?

 

ここでもやはり、前述のとおり社会の仕組みとして対策ができていないので、⾃分で何とかしてください、というのが現状ということなのです。高校でお金の授業をしましょう、というのもその一環です。

 

⾃衛しかないのであれば、より早い段階から、どういう働き⽅をしていくのか、どう資産形成をしていくのかを考えていく⽅が得策です。ワオ高校の学校設定科⽬「経済探究」も、このようなことを考えてもらうためのものです。

 

では、「どう働くか」を考えていく必要があります。次のクイズはこちら。

 


【仕事】サラリーマンの何割が⼼の病を抱えている?


 

 

受験もある種の競争ですが、社会に出て仕事をすれば常に競争にさらされます。業績を上げなければ会社の中で⽣き残れないし、会社が他社に負ければ、最悪倒産してしまいます。給料がいい会社というのは、その分競争も激しいと⾔えます。当然、⼤きなプレッシャーが労働者の⼼⾝ともにかかります。

そんな中で、どれだけの⼈が「⼼の病」を抱えているのでしょうか?

 

正解は61.5%です。

 

よく、「5⼈に1⼈が何らかの精神疾患にかかる」と⾔われますが、これは仕事もできなくなるレベルで、病院で診断‧治療を受けている⼈の話です。不安であまり寝付けないなど、病院を受診しない⼈も含めた数値が、この61.5%です。

 

(厚⽣労働省「令和4年版過労死等防⽌対策⽩書」)

 

将来お⾦が⾜りなくなるからたくさん稼がないといけない。けれども、そうすると激しい競争にさらされて、⼼が病んでしまう。⼀体どうすればいいのでしょうか。

 


【仕事】現在の10代が今はない仕事に就いている割合は全体の何%?


 

 

皆さんがアルバイトを探す際、身近にある様々な仕事の中から選択をしていると思います。

しかし、皆さんが⼤⼈になって働くようになった時、今は存在しない新しい職業が登場している可能性があります。そうした職業に就く⼈の割合は、⼀体どれくらいなのでしょうか。

 

答えは、65%と⾔われています。

 

ここ数年でAIの利⽤が⼀気に進みました。

新しい技術によって、今ある職業の多く、主に「ホワイトカラー」といわれるサラリーマンの仕事がなくなり、代わりに新しい職業が登場すると⾔われています。

今の教育は、基本的に今ある仕事に対して必要な能⼒を⾝につけるために設計されています。今後登場する未知の職業に対応できるかどうかはわかりません。そこで、今後必要になってくるであろう能⼒を、経済産業省は次のようにまとめています。

 

 

これは要するに、状況の変化に対応して⾃ら克服する⼒と⾔えるかもしれません。

 


【仕事】なぜ文科省はアントレプレナー教育を推進しているのか?


 

 

変わっていく社会に対応していくためには、教育をどう変えていくべきか、政府も考えているわけです。

その中の⼀つの回答が「アントレプレナーシップ」です。

 

「社会課題を⾒つけて解決できる⼈」

「価値を創造できる⼈」

「国際競争⼒を持っている⼈」

「幸せに暮らす⼒(ウェルビーイング)を持っている⼈」

 

こういった人材が、今後、必要となると言われています。そして、こういった人材が、「アントレプレナーシップを備えた人」と言われています。

 

(⽂部科学省「令和2年度科学技術⼈材養成等委託事業「持続的‧発展的なアントレプレナーシップ教育の実現に向けた教育ネットワークや基盤的教育プログラム等のプラットフォーム形成に係る調査‧分析」について」令和3年11⽉22⽇)

 

働き⽅が変わる中で、どうしていかなければいけないのか、国も考えてはいますが、全体をそちらにシフトさせるというのはあまりにもリスクが⾼すぎると⾔えます。従来の教育、従来の⼈材もやはり必要なわけですから。そこで、対応できるところから対応してください、と推奨しているのです。

 

最後に、「アントレプレナー」に関連して、「マネジメント」の発明者として知られる、経済学者ピーター‧ドラッカーの⾔葉から出題。

 


【人生】未来を予測するための一番いい方法は?


 

 

統計やデータというのは、蓄積されていれば過去の推移からある程度の予測ができます。今までそういった事例をクイズ形式で⾒てきました。そして、その中で未来の予測に基づいて、今どう⾏動すべきかを考えようということを伝えてきました。

 

これが「お金の学習」の肝⼼なところです。

 

では、ドラッカーはどういっているでしょうか?

 

“The best way to predict the future is to create it.” (未来を予測するための⼀番いい⽅法は、未来を⾃分で作ることだ)

 

サラリーマンが将来に不安を感じるのは、「雇われている」だけだから。つまり「⾃分の未来を他者に依存している」ことが原因と⾔えます。⾃分の未来の決定権が⾃分にはないわけですから。

 

でも、⾃分で⾃分の未来を決めることができれば、もし失敗して後悔することがあったとしても、⾃ら未来予測をしているので、将来に対する不安の幾分かはなくなるといえるでしょう。

 

⽂部科学省がアントレプレナーシップを推奨しているのも、今後は未来を⾃分で切り開くことが重要だと認識しているからです。

皆さんも、将来について、⾃らビジネスオーナーになる、という選択肢を持っていることは⼤切だと思います。そのために必要な⼒というのは、どのような働き⽅をする場合でも役に⽴つものです。

⾃分の未来を⾃分で切り開くために、今後はすべての⼈がアントレプレナーシップを⾝につけていく必要があるのではないでしょうか?

 

 

ワオ高校には、「起業コース」があります。

通信制高校という自由な時間を活用しながら、ワオ高校の教養探究で「考える力」を養い、様々なプロジェクトに参加しながら実践的にアントレプレナーシップを身につけることができるオプションコースです。

 

起業コースの詳細はこちら

 

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