2023/12/14学校生活イベント
「好き×学び」で自分の未来を切り拓いているワオ高生のリアルが分かるとして、大好評の企画となっているのが「ワオ高生が先生になるプレゼンショー」です。
12月2日のオープンスクールで実施した第5弾では、3名の生徒がプレゼンを担当。
起業コース主催で初開催となった「起業家的文化祭」の結果報告をはじめ、全日制の高校から転入してワオ高校を選んだそれぞれの理由について、自分の言葉で語ってくれました。
生徒たちのプレゼンは、本校の山本潮校長と、オンラインフリースクールを運営している株式会社WIALIS代表の中島由貴子さんが大人代表として講評しました。
ワオ高校生活を充実させている3名のプレゼン内容を詳しく紹介します。
11月のオープンスクール・プレゼンショーに続いて連続登場してくれたN・Oさんは、「起業家的文化祭」の計画から実現まで、中心となって活動した生徒の一人です。
文化祭をゼロからつくりあげるという大変な過程を「初のオフラインイベントをやったよ!自慢」と称して、とても軽やかに語ってくれました。
オンライン高校であるワオ高校で、前例のないオフラインの文化祭をやろうと決めたのは、開催まで1カ月ちょっとしかないタイミングでした。すべてをゼロから決めていかなければならない状況下で、何度もオンラインでミーティングを重ねたそうです。
文化祭の運営メンバーが顔を合わせることができたのは、文化祭直前1週間のスクーリング中でした。授業の空き時間に集まり、文化祭に向けて会場設営を進めました。
文化祭を開催するまでには、たくさんの「タスク」がありました。
マーケティングリサーチから始まり、営業活動、取材対応、ちらしやポスター配布のお願い、SNSでの宣伝、会場の設営……。そしてそれらを全体総括する役割もありました。
マーケティングリサーチは、岡山市内の中学校9校や近隣のお店にアンケートを実施。
ちらしができたら、近隣の店舗に足を運んでちらしを貼ってもらいました。SNSの宣伝にも力を入れました。
開催直前までチケット代などを検討し、大人には入場料代わりに高校生の活動への出資として200円を払ってもらうことに。文化祭でブースを出展してくれた人からは、売り上げの10%を手数料として運営本部に支払ってもらうことにしました。
2日間で、ブースだけの売り上げで約9万円、入場料も含めて約10万円という成果を上げることができたそうです。
第1回目の文化祭ということもあり、「実験的なものになるのでは」という意見は運営メンバーから上がっていました。
収益を上げるということを意識していましたが、結局は赤字になるのではとも思っていたそうです。
でも、文化祭開催を支えた教職員から「赤字にはしないことを目指そう」というアドバイスを受けて頑張ったことで、挑戦的なイベントを運営することと収益を上げることを両立するような文化祭にできたのではと、振り返りました。
N・Oさん自身は、数多いタスクをうまく振り分けることができず、タスク管理をする大変さも味わったことが反省点となりましたが、運営チームメンバーの柔軟な思考や行動力を再認識できたそうです。
開催直前に料金設定を変更したり、開催中でも状況に応じて会場レイアウトを変えたりと、大きな決断を何度もこなす場面があり、メンバー全員の成長につながったと感じています。
N・Oさんは「短い期間で準備して、そんな状況でも利益を出せたのはすごい自信になった。反省は尽きないけれど、絶対に次につなげたい!」と次回開催への熱い思いを語りました。
山本校長は「“文化祭らしくない文化祭”をあえてつくろうとしたことに価値がある!なぜなら、人と違うことにチャレンジするのは勇気がいることだから。その勇気と行動力に敬意を表する」と激励。中島さんは「プロジェクトは人を信頼しないと成功させるのが難しい。1年生でタスク割り振りや指示出しをするのはとても大変だったと思うが、すごいリーダーシップを発揮している」と評価しました。
高校1年生の11月、中高一貫校からワオ高校へ転入してきたH・Aさん。
不登校気味で勉強面に自信がなく、内気で人と話すことも苦手だったこともあり、「通信制高校の勉強のレベルはどうなのかな?」「オンラインでの学習、孤立しないのかな」「大学進学はできる?」など不安を抱えたままの転入でした。
でも、3年間のワオ高生活をもとに、オープンスクール参加者に向けて「通信制高校への疑問や不安、今日で解決します!」と力強く宣言しました。
転入直後のH・Aさんは、朝に弱く勉強時間は昼から夜にかけて。レポートの提出は期限ぎりぎりでした。
単位取得に必要に必要な授業以外はあまり出ることなく「だらけた」生活を送っていたそうです。
趣味の時間に多くをさき、勉強についてはメディア学習とレポートをこなすだけでした。
しかし、ワオ高校には生徒が自分のやりたいことを発信していく活動があるということをだんだん知るようになりました。
部活動では、哲学部や軽音楽同好会などを自分たちでたちあげることできる環境がありました。特に哲学部は、哲学について語り合う場で、自ら成長していける企画でした。先生たちも活発で、生徒たちが行う活動について学校外へも活発に広報してくれました。
授業についても、自分の学習レベルに合わせた授業を選択でき、同じ悩みや志をもった同級生がたくさんいました。先生も相談にのってくれ、転入学時にいただいて悩みの大半が解消されました。
何より、学校の同級生たちが、自分の好きなことや得意なことを究めている姿は自分にとって刺激になったそうです。
特に刺激になったのは教養探究の授業です。哲学、経済、科学の分野のうち、H・Aさんは哲学に力を入れて学びました。
有名な哲学者の考えを学び、自分の考えと混ぜ合わせて考え続けることが好きになりました。先生や同級生ともオンライン上で積極的に対話を重ねて学び続けました。
こうした環境がH・Aさんの気持ちを変えました。転入学当初から大きく変化し、自ら学びたいと思うようになったのです。
オンライン高校であるワオ高校では、必須授業以外は決まった時間に授業がない分、勉強を究めるために自己学習の習慣がついていきました。オンライン上でいつもつながっているので、勉強面で困りごとがあった時も、すぐに先生に相談できたそうです。
その結果、人見知りで苦手だった「面接」で、大学に合格することができました。
H・Aさんにとって、自分の短所を直すきっかけの場所となったのがワオ高校でした。
「通信制高校への不安はあると思います。でも、通信制高校は自ら学ぶ力を身に付けるには最適な環境です。新しい環境への挑戦をお待ちしています!」と明るい笑顔で呼びかけ、かつての自分や自分と同じような立場の人には「今いる環境がつらいなら、無理に外に出なくてもいい。自分に合う環境の高校って他にもいっぱいあるよ」と温かいメッセージを送りました。
中島さんは「H・Aさんの話で、改めてワオ高校の魅力を感じた。ぜひこの話を、私が運営しているオンラインフリースクールの中学生たちに聞かせてあげたい」と話しました。
山本校長は「人前で話すことが苦手だと知っているから、プレゼンに出てくれたことがとてもうれしい! 転入してきた時、苦しかったことはたくさんあったと思う。現代は学び方が多様化していて、やりたいことがあるなら環境や場所を変えられる。H・Aさんのようになれるということを知ってほしいし、このプレゼンにとても勇気をもらった人がいると思う」と伝えました。
N・Tさんは、高校2年の12月に全日制高校から転入してきた生徒です。
その転入学は「アメリカの大学に進学したい」という明確な目的があるためでした。
N・Tさんは中学3年で担任だった英語教諭の影響で、アメリカの大学に興味を持ちました。
卒業時に「将来はアメリカの大学に行きたい」と伝えたところ、「高校でも自分が興味をもったことを積極的にやってみて」というアドバイスを受け、その言葉を胸に行動してきました。
ワオ高校に転入したのは、前籍校の進学サポートに対して不安があったからです。
前籍校では「グローバル科」という名称のコースに在籍していましたが、名前に反して同級生のほとんどが国内大学への進学を希望していました。アメリカの大学進学に向け、N・Tさんだけでなく、先生も手探りの状況だったそうです。
「ここにいて本当にアメリカに行けるのだろうか」。
不安に感じたN・Tさんは、海外大学への進学サポートを求めてワオ高校へ転入することになりました。
ワオ高校に来てからも、N・Tさんは積極的に動きます。
今年4月から「英語café 」という、部活動のようなものをつくりました。毎週月曜日の1時間、参加者は英語で話します。この活動を始めたのは、N・Tさん自身が「英語で同世代と話したかった」からです。
スピーキングの練習をする時、いつも壁に向かって一人で話すだけだったN・Tさんにとって、「英語café 」で生身の人間と話す機会はとても貴重の場となっています。
現在は海外大学6校へ出願しています。入試に必要なエッセーの準備、推薦状の依頼など、ワオ高校の先生のサポートでスムーズに進んでいます。
同時に奨学金の申請にも挑戦しています。この奨学金への申請が大学出願よりも大変で、とにかく膨大な量の書類やエッセーを自分自身で準備しなければなりません。
「この奨学金申請で苦労したおかげで、大学出願もスムーズにできたのかもしれない」。N・Tさんにとって海外大学出願にまつわる一連の活動が、自分自身の「自信」につながりました。
N・Tさんは、前籍校時代から学校外での活動にも積極的に参加してきました。活動を通じてさまざまな世代との交流を広げ、自分自身に足りない部分を見つめ直しました。こうした活動が今の自分の糧となっているそうです。
N・Tさんは最後に、転入学して感じた通信制高校の特徴について語りました。
通信制高校でのオンライン授業は、心身への負担が減る代わり、適当にやろうと思えばそれで終えられてしまいます。その分、しっかり学習したい人にとっては「授業をどれだけ楽しめるかが大事」だと感じているそうです。
平日の多くの時間は自主勉強が占めるからこそ、ここで差がつくのだと振り返ります。
「勉強漬けになれと言っているわけではありません。必要な分の勉強をどれだけ自主的に継続的にできるか、それを自分ができそうかを考えてほしい」と、参加者に向けて呼びかけました。
N・Tさん自身は学習ペースを整えるために、自主的に前籍校の時間割を使って勉強しているそうです。
通信制高校で「不安」を感じる人が多いスクーリングについても、「リアルな友達と会える場所。ストレスを感じる人も多いけれど、同じような境遇の人が多くて、みんなとても優しい」と語りました。
「転入を迷っている人、今の学校にいたままで何か変わるのか、その結果に満足できるのか。それを指標の一つにして、高校を選んでほしい」と明るく呼びかけました。
そんなN・Tさんの将来の夢は多彩です。
心理学に興味をもち、日本ではタブー視されがちな精神疾患などについても、オープンで多様な場で知識を学びたいと思っています。
大学卒業後の具体的な職業を決めているわけではないけれど、アメリカでも働きたいし、アメリカで学んだことを日本にも還元したいと考えています。
特に前籍校時代、たった一人でアメリカに行きたいという希望をもちながら、地方都市ゆえに周囲には英語教室も情報も少ないという問題を痛感していました。海外大学への進学について、都市部と地方とのギャップをなくす活動ができればと願っています。
山本校長は「N・Tさんはリーダーシップを感じる生徒の一人。英語café では、参加者を英語でファシリテートしていくパワーが印象的。人は人によってしか変われないから、いろいろな人との出会いはN・Tさんにとって絶対にプラスになる。海外大学でさまざまな経験を得て、ぜひその力を日本の発展に役立ててほしい」とエールを送りました。中島さんは「自分の夢に向かって邁進する姿に大人も勇気づけられた。ぜひ多くの人に英語の楽しさを伝えてほしい」と語りました。
オンライン高校での青春。なかなかイメージしづらいかもしれませんが、今回はさまざまな形で青春を楽しんでいる3人の発表でした。
いずれも誰かに強制されたのではなく、イベント実施も転入学も「自分で選択」して、実現させているのが魅力的ですね。
今いる場所で不安を感じている人にとって、とても勇気づけられる発表になったのではないでしょうか。ぜひ、ワオ高校のオープンスクールに遊びに来てほしいと思います。
2023/12/14学校生活イベント