2024/10/22教養・リベラルアーツ学校生活
10月27日の衆議院議員総選挙を前に、ワオ高校では「主権者教育」をテーマとしたオンライン授業を行いました。
選挙権がある高校3年生だけでなく、数年のうちに有権者となる高校1・2年生も含む全校生徒が参加しました。
生徒たちは、主権者であることの意味や民主主義のこと、マニフェストの見方について、「哲学」の視点を取り入れながら学びました。
ワオ高校の主権者教育ではまず、「民主主義とは何か」という根本から問い直します。
ワオ高校哲学カフェを主宰する福盛教諭が、古代ギリシャの哲学者ソクラテスが多数決により刑死したことにより、弟子のプラトンが民主主義を批判した事例を挙げ、「主権者が賢明である限り、民主主義はどこまでも健全に成長する。しかし、人民が愚かだったら間違った選択をして後悔することにつながってしまう」と述べました。
ここで、授業では日本国憲法にある「参政権」を改めて確認しました。
憲法15条で「公務員を選定し、及びこれを罷免することは、国民固有の権利である。」とうたわれている参政権ですが、4項の中に「選挙人は、その選択に関し公的にも私的にも責任を問はれない。」とあります。
この項目をもとに、現実の選挙でふざけた理由での立候補や、気分や雰囲気に流された投票が行われてはいないかということを生徒に問いました。
ここで大切になるのが「哲学的な視点」と「教養」です。
ドイツの哲学者ヘーゲルは、教養について「自分が良いと思ったことが、他の誰にとっても良いといえるかどうかを判断できる能力である」と説いています。
つまり、教養ある人は、選挙で選択をする時に「自分にとって都合がよいかではなく、社会にとってよいかどうか」を基に判断することができます。
有権者は、各政党や候補者が挙げている公約について、「本当に社会にとって有益か、実現できるのか」という視点で見る必要があり、さらに選挙が終わった後も「本当にその公約が果たされているのか」という部分を見ていかなければなりません。
また、与党については「実現可能性を前提に公約がつくられているか」、野党については「財源などの面で実現可能な公約となっており、政権担当能力があるといえるか」という視点でも判断する必要があるのです。
福盛教諭は選挙に臨む姿勢としてこのように説明し、「民主主義を健全にしていくのは国民が賢明かどうかにかかっている。たとえ自分が選んだ候補者が思ったような政策を実行せず、有権者として後悔することがあっても、それもまた自身の成長を促すことになる。投票に行くことで多くの学びがある」と生徒にメッセージを送りました。
実際の選挙があるタイミングで、ワオ高生は哲学的な視点や教養の大切さを改めて実感したようでした。
2024/10/22教養・リベラルアーツ学校生活